2018年03月13日

名誉毀損訴訟で損害が認定されるか否か


 <プライバシー保護と公益性>


    「重大な損害の恐れ」なら削除
    グーグル検索結果訴訟で 東京高裁
    原告会社の請求は棄却
       産経新聞 2018.1.31

  インターネット検索サイト「グーグル」で会社
 名を検索すると「詐欺」などと表示され名誉が傷
 つけられたとして、東京都のインターネット関連
 会社が検索結果242件の削除を求めた訴訟の
 判決が31日、東京地裁であった。

  鈴木正紀裁判長は、検索結果の表示に公益性や
 真実性がなく、「被害者に重大で回復困難な損害
 が生じる恐れ」がある場合には削除が認められる
 との基準を示した上で、「検索結果が真実でない
 証拠がない」として会社側の請求を退けた。

  鈴木裁判長は、会社の社会的評価を低下させる
 表示であるとした上で、「実際に詐欺行為が行わ
 れていれば、消費者に警鐘を鳴らす必要がある」
 として公益性を認定。内容が「真実でないと認め
 るに足りる的確な証拠がない」とし、損害の有無
 は判断しなかった。




 <名誉毀損で賠償請求>

  名誉毀損で裁判を起こすということで、話題に
 なるケースが増えている。

 民事裁判で不法行為の損害賠償を請求するために
 は、次のことが前提になる。

 「他人の名誉を傷つけること。即ち、人の品性・
 名声・信用などについての社会的評価を違法に
 侵害して損害を与えること」

  そして、名誉を毀損するか否かは、一般の読者
 の普通の注意と読み方とを基準として判断する。


  (最高裁 昭和31年7月20日 判決)

   「新聞記事がたとえ精読すれば別個の意味に解さ
   れないことはないとしても、いやしくも一般読者
   の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味
   内容に従う場合、その記事が事実に反し名誉を
   毀損するものと認められる以上、これをもって
   名誉毀損の記事と目すべきことは当然である。」


  ただし、例外的に違法性がなくなる場合がある。

 (1)公共の利害に関する事実で、

 (2)もっぱら公益を図る目的の場合で、

 (3)摘示した事実が真実であると証明された時
  また、証明がないときにもその事実の重要な部
  分を真実と信じるについて相当の理由がある時

  は、不法行為とされず、損害賠償請求は認めら
  れない。



 <名誉棄損と公益目的>

  他人の社会的評価を侵害し、不法行為となるか
 否かは、公表した記事などが公共性をもち、かつ
 指摘した事実の内容が真実である場合には不法行
 為が成立しないと考えられている。


 (目的がもっぱら公益を図ることにあった場合)

   昭和41年6月23日 最高裁 判決

   名誉棄損については、その行為がもっぱら公益を
   図る目的であった場合に、摘示された事実がその
   重要な部分について真実であることの証明があった

   ときには、上記行為には違法性がなく、仮に上記
   証明がないときにも、行為者において上記事実の
   重要な部分を真実と信じるについて相当の理由が
   あれば、その故意又は過失は否定される。



 <真実でも名誉毀損となる場合>

  詐欺師、犯罪者と決めつけて一般に広めれば、
 人を傷つけることになる。「名声・信用などに
 ついての社会的評価を侵害する」行為である。

  真実であれば名誉毀損が認められないことがあ
 るが、公共性、公益目的に適うことが必要であり、
 そうでない場合には真実であっても名誉毀損とな
 り得る。

 内容に公共性があるか、目的に公益性があるかが
 問題であって、それが真実だと証明しても名誉毀
 損が成立する。


  *公共性を欠く場合には仮に真実であって
  も不法行為責任を負う。

 (1)介護ヘルパーが私生活を公表して名誉毀損

   訪問介護ヘルパーが介護の様子をブログで紹介し、
   プライバシーを侵害したとして、損害賠償を求め
   られた裁判で東京地裁は、「他人に知られたく
   ない私生活を公表しており、プライバシー侵害や
   名誉毀損に当たる」と指摘して賠償を命じた。

   ヘルパーは、朝食や着替えの手伝いなど身の回り
   を介護する様子を細かく書いていた。

   (平成27年9月4日 東京地裁 判決)


 (2)有名俳優の私生活を記事にして名誉毀損

   婚前同棲という記事は、その事柄の性質上公益に
   関するものではないから、真実の証明があっても
   違法性を否定されない。

   有名な俳優であるから、その私生活における恋愛、
   結婚の問題は公共の利害に関する事実であり、公
   益を図る目的をもって、記事を掲載したと主張す
   るが、結婚前同棲という記事は公益に関するもの
   でない。

   (昭和44年12月25日 東京高裁 判決)




posted by showjn2 at 21:41| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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